5. アグリツーリズモに泊まってみれば

おかげさまで、当社でも、
アグリツーリズモを組み込んだ個人旅行プランを手配する機会が増えてきました。
一番多いのが女性同士の二人連れ、次が年齢を問わずカップルでしょうか
もちろん男女とも一人旅の方もいれば、ご家族や、
あるいはスケッチのお仲間などのグループという場合もあります。

当然イタリアへは二度目、三度目というリピーターの方がほとんどですが、
時々は、初めてのイタリアだけれど、是非田舎も体験したいという方もい らっしゃいます。
少しずつ旅の楽しみ方も変わってきているのかもしれません。
また、新たに二人の人生のスタートを切る新婚旅行にも、
日 本の忙しい日常からはひと味もふた味も違う、
ゆったりと時間が流れるアグリツー リズモは最適です。
今回御紹介するのは、そんな新婚旅行 で滞在したアグリツーリズモが気に入ってしまい、
二度のイタリア旅行で四軒のアグ リツーリズモ(そのうちの一軒には二回滞在)
を制覇 (?)された上垣さんの感想です。

●アグリツーリズモの魅力って・・・?

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『これは困った!』そんな思いが頭をよぎる。
何が困ったって、泊まれば泊まるほど、何度も行きたくなるひいきの宿が増えていくのだ。
そこにアグリツーリズモの魅力があるのだが、やっぱり困ってしまうのだ。
イタリアのアグリツーリズモは、
若者の農業離れを食い止めるために政策的に進められてきたが、その起源は各地の大農家が、
都市からの友人達を自宅に泊めてもてなしたというところに行き着くようだ。
都市と田園地域には、その暮らしぶりに違いがあるが、それぞれに魅力があり、
お互いに誇りを持ち、お互いの憧れの地であったから、尊重し合いつつ発展できたのだ。
だから田園地域に魅力のある国が出来上がったのではないか、とも感じた。
その田園地域の豊かな生産物と風景がアグリツーリズモの魅力の一つであるが、
そんな小難しいことでなく、魅力はやはりオーナーの人柄だ。

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トスカーナの"ポッジョアシュット"のオーナーは、
元は農家にアグリツーリズモの経営を勧める立場にいた女性だ。
それが農地と建物を手に入れてアグリツーリズモを始め、
食事目当の客を受け入れるようになったのだという。
"ポッジョアシュット"では、よくある"マンマの味"とはひと味違う、
少し洗練された食事を提供してくれる。
特にぺぺロンチーニとチョコレートを原料にした"チョコぺぺ"は
肉料理からデザートまでなんにでもあわせることが出来る優れもので、印象深い。
これ目当てのお客さんもいるようだ。
 

また、オリーブ栽培とマンマの味が売りの、ウンブリアの"マルバリーナ"では、
日本からやって来た物好きを自家用車に乗せて、
『最近は特徴を出すために、葉っぱも一緒に絞るところもあるようだが、
うちは実だけで作っているから旨いんだ!』と説明しながらオリーブ畑を案内してくれ、
また契約するワイン工場にも連れていってくれた。
それも、押しつけではなくて『ワインを取りに行くけど一緒に行くか!?』と、
こちらの気持ちを尊重して誘ってくれる。

他の宿も含めて共通するのは、オーナーの魅力である。料理など、
8割以上(州により規定は異なるが)は自家製のものや
近辺で栽培されたものを使わなくてならないという規定もあり、
それが地域との繋がりを強めているのだが、
まさにオーナーにもその土地から自然に生えてきたような、
その土地に根付いているという印象がある。
飾らないけれど魅力的な、長年付き合ったパートナーのような、包み込むような魅力だ。
食べ物、風景、人と、どれをとってもやさしく、力強く、元気をもらえる… 
それらがアグリツーリズモの魅力である。

 

agri2.jpgしかし、日本に居ながらにして、行く宿全てがお気に入りになってしまうのは、
こちらの意向を十分にくみ取ってコーディネートしてくれる人が居るからだということも、
忘れてはならない。
そういえば、オーナーに接することで、その地域に窓を開けたように、
すんなりと地域の魅力を感じることが出来るアグリツーリズモに通じるものがインヴィアにはあると、
この文章を書いていて思った。
言うなれば、イタリアの思ったところに行ける"どこでもドア"である。

 

 

帰国後にお客様からいただく言葉で本当に嬉しいのは、
「楽しかった」、「イタリアがもっと好きになった」というのと、この「また行きたい」です。
これらの言葉を聞くと、素晴らしい時間を提供してくれたイタリアと、
アグリツーリズモと、そしてそれらを五感で感じ取ってくださったお客様に、
感謝の気持ちで一杯になります。
今回、少し長い感想を寄せてくださった上垣さんに転載のお願いをしたところ、
快くさらに書き加えてくださいました。
上垣さん、素敵な写真と感想、本当ににありがとうございました!

(この記事は2006年にJITRAに連載したものです)

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