南イタリアのオリーブとアグリツーリズモ

先日、イタリアの栗が外国産の苗木から広がった害虫被害により、
深刻なダメージを受けているということをお伝えしましたが、
今度はオリーブが枯れてしまう病原菌のニュースです。
南イタリアのプーリア州ではこの菌により、樹齢500年のオリーブが枯死しているとのこと。
オリーブ枯らす病原菌 イタリアで拡大 (SankeiBiz 12/12)

欧州食品安全機関(EFSA)は11月26日、10月に検出されたこの病原菌がレッチェ県の県都レッチェ市近郊のオリーブ畑8000ヘクタール以上の枝枯れに関連していると発表した。同州はイタリア最大のオリーブ産地で、政府統計によると昨年の生産量は1100万トンで同国全体の36%を占めた。

ドンギア氏によると、MAIBは症状のみられない木々を調べ、緩衝地帯を定めようとしている。病原菌は輸入された観葉植物から広がった可能性があるという。

米カリフォルニア大学によるとピアス病菌の中にはブドウを枯らす「ピアス病」の原因となる株もあるという。

欧州議会のラファエーレ・バルダッサーレ議員は10月24日、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会への質問状の中で、唯一の対処法は感染した木を根元から掘り起こし破砕することだと述べた。

ヨーロッパ地中海地域植物防疫機関(EPPO)は、この病原菌が欧州にとって「非常に深刻な脅威」だとする警告をウェブ上に表明した。

EFSAは「宿主の範囲が広いため、野外に広がったピアス病菌の根絶に成功した事例はない」とし、検疫は生きている植物と植物に付着して運ばれる昆虫に集中して行うべきだとの見解を示している。(ブルームバーグ Rudy Ruitenberg)

プーリア州は農産物の本当に豊かなところです。
美味しい野菜を使った郷土料理がたくさんあり、
おすすめの前菜セットを頼むと、ソラマメやピーマンやトマトなど、
色とりどりの小皿がテーブルせましと並び、圧倒されます。
豊かな農産物の中でも特にオリーブとぶどうは別格。
やさしい風味のオリーブオイルと、芳醇なワインの産地として、
量も質も誇るイタリア有数の地域なのです。

一度プーリア州を、三台の車と三人のドライバーをつないで、
北から南に旅したことがあります。
まっすぐな道をかなりのスピードで飛ばしている両脇が、
えんえんとオリーブの畑でした。
プーリアのオリーブは古木が多く、樹も大きい。
ずいぶん立派な樹だねえと感心していると、若いドライバーが、
あれはまだ若いよ、100歳か200歳くらいかな、と言うので驚きました。
400年、500年の樹齢がさほど珍しくない。
そのことを自慢というのではなく、
ごく当たり前の口ぶりでさらりと口にしたのです。

オストゥーニという丘の上の街があります。
真っ白に塗られた家々の間を、坂道と石段が迷路のようにめぐる、
散策がとても楽しい街です。
見晴らしの良いところから眺めると、少し先の海岸まで、
オリーブの樹々もまた波のようにうねりながら続いていて、
まるでこの丘が緑の海に囲まれた島のようにも思えてくるのです。

そこに、これまでヨーロッパには存在しない病原菌が広がっている…。
プーリア州だけでなく、イタリアへ、そしてヨーロッパへと広がっていかないか心配ですが、
感染の防止には、「根元から掘り起こし破砕する」しかない、というのにも心が痛みます。

写真はオストゥーニ近郊の農園のオリーブ。

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マッセリアと呼ばれるこの地域の農園には、
スペイン統治時代の面影を残した独特の雰囲気があります。
そんな農園のアグリツーリズモに滞在したときのもの。
5月の空は青く、土の色もけしの赤も、鮮やかでした。
散歩から戻ると、農園のエントランスのトベラの白い花が、
甘く香っていたのを思い出します。

 

 

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